マグネシウム製ルーフとカーボンファイバー製スポイラー を備えたワイドな軽量ボディ
ボディおよびエアロダイナミクス
ニュー911 GT3 RSは、ハイパフォーマンスなドライビングダイナミクスを目指して開発されました。ボディをひと目見ただけでも、RS専用リアスポイラーと圧倒的にワイドなボディにより、明確にモータースポーツを意識したドライビングマシンとしてのRSのポジショニングが示されています。リアの寸法は911ターボと同じで、ボディはこのモデルをベースとしています。それに対し、カーボン製フロントスポイラーは両サイドともさらに25mmずつ張り出しています。RSモデルの特徴のひとつは、ホイールアーチベントの上部がスラットによって保護されていることです。これにより、回転するホイールによって生成される超過圧力が軽減され、その結果、フロントアクスルにおけるダウンフォースが増大しています。ボンネットの2つの“NACA”インレットは、ブレーキシステムのベンチレーションを向上させ、しかも空気抵抗係数に悪影響を与えることはありません。フロントリップスポイラーは先代モデルよりもさらにワイドになり、サイドスカートのワイド化と相まってアンダーフロアの表面積が拡大したため、ダウンフォースが増大しています。これにより、全体として、走行挙動がいっそう安定しています。
911 GT3 RSは、レーシングカーと同様の方法でエアロダイナミクスを調整することができる稀な公道仕様のスポーツカーのひとつです。高速コーナーでのパフォーマンスを向上できるよう、鍛造アルミニウム製でブラックに塗装されたスポイラーサポートを備えた固定式リアスポイラーは、パフォーマンスポジションに移動することができます。このポジションでは、先代モデルよりも40%大きいダウンフォースが発生します。
インテリジェントな素材の組み合わせによる重量削減
第7世代911 GT3 RSは、軽量設計の完璧な例のひとつとなっています。先代モデルと比較して、パフォーマンスを向上させる多くの機能が追加されているにもかかわらず、可能最低重量1,430kgのこの新しいハイパフォーマンススポーツカーは、競合車の中でも最軽量の部類に属します。アルミニウムとスチールの複合構造により、ボディ重量が抑えられると同時に、必要な車両の剛性も確保されています。911 GT3と同様、フロントおよびリアセクションは軽量ポリウレタン製で、中空ガラススフェアとカーボンファイバーエレメントが用いられています。このハイテク材料は特に安定性に優れているだけでなく、非常に軽量でもあります。CFRPも、成形フロントリッド、フロントスポイラー、リアリッドに加え、インテリアの幅広いコンポーネントで使用されています。
ルーフはマグネシウム製で、フロントリッドと同様、深さ数ミリの輪郭加工が広範囲にわたって施されています。この輪郭加工は、軽量コンポーネントにとって単なる外観上の特徴ではなく、材料の剛性も高めます。リアウインドウとリアサイドウインドウは軽量ガラス製です。この材質は重量の点ではポリカーボネートとほぼ同じですが、傷つきにくさと割れにくさに関してははるかに優れており、高速走行時の膨らみも大幅に抑えられています。
特にサーキットでは、繰り返される加減速操作によって車両コンポーネントに負荷がかかります。そのため、軽量の車両の方が効率よく加減速できるだけでなく、パワートレインとブレーキへの負荷も小さくなります。これは、2~3周以上の高速ラップが予定されている場合は特にアドバンテージとなります。1kgでも車両重量を削減することは、横方向のダイナミクスの点でも重要となります。車両が軽量になればなるほど、コーナーで外側に押し出す質量が減るからです。タイヤによって伝えられるコーナリングフォースが小さくなり、コーナリング速度の可能性が向上します。
サーキット向けのインテリアデザイン
ニュー911 GT3 RSのインテリアは、サーキットでの機能性と優れたエルゴノミクスを念頭に置いてデザインされています。スポーツステアリングホイールは軸方向と垂直方向に最大40mm調整可能で、ドライバーのニーズにあわせて最適にカスタイズするすることができます。ブラックアルカンターラ®製のステアリングホイールリムは、視覚的なハイライトとなるだけでなく、最適なグリップも確保します。12時位置のイエローのマーキングは、サーキット上で現在のステアリングアングルをドライバーに示します。プレッシャーポイントが明確に定義された大型シフトパドルにより、精密なシフト操作が可能で、明快なフィードバックによってドライバーは適正なギアが選択されたという確信を得ることができます。
運転席と助手席は、カーボンの編み目模様のCFRP製フルバケットシートが標準装備され、サーキットで最適なサイドサポートをもたらします。シートセンターはパーフォレーション加工が施されたブラックのアルカンターラ®で仕上げられ、ヘッドレストにはシルバーグレーの“GT3 RS”のロゴが刺繍されています。アダプティブスポーツシートプラスを選択した場合、どのインテリアデザイン構成でも、シートセンターセクションはパーフォレーション加工のないブラックアルカンターラ仕上げとなります。
クラブスポーツパッケージが無償オプションで選択可能
911 GT3および911 GT2 RSと同様、ニュー911 GT3 RSでもクラブスポーツパッケージが用意されています。このパッケージには、ドイツ・モータースポーツ連盟(DMSB)認定のリアロールケージとバッテリーのカットオフスイッチが含まれています。その他、モータースポーツ用の手動式消火器、6点式シートベルトも含まれ、どちらも将来予定されている国際自動車連盟(FIA)の要件にすでに適合しています。
オプション:ヴァイザッハパッケージとマグネシウムホイール
オプションのヴァイザッハパッケージとオプションの鍛造マグネシウムホイールにより、911 GT3 RSのクラブスポーツパッケージ装着車と比較して、さらに約30kgの重量削減が可能です。このオプションでは、リアスポイラー、フロントリッド、ルーフ、スポーツデザインドアミラーのアッパーシェルがカーボン織目仕上げの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製となります。フロントとリアのスタビライザーとカップリングロッドもCFRP製です。ヴァイザッハパッケージの見違えることのない目印となるのは、リアスポイラーの大きな“PORSCHE”の文字です。
インテリアで目立つのは、ボルトで連結されたチタン製ロールケージで、これはクラブスポーツパッケージに装備されるスチール製ロールケージよりも約12kg軽量です。小さなディテールも、軽量化のために最適化されています。たとえばCFRP製ステアリングホイールカバーや超軽量シフトパドルなどで、どちらもカーボンの編み目模様仕上げとなっています。フロアカーペットまでもが軽量化されています。ヘッドレストのヴァイザッハパッケージのロゴとカップホルダートリムのロゴも、この911 GT3 RSが重量に関して可能な限り最適化されていることを示しています。
911 GT3 RSに標準装備されているPCMには、オンラインナビゲーション、ボイスコントロール、携帯電話プレパレーションに加え、さまざまなサービスにアクセス可能なポルシェ コネクト プラスが含まれています。さらなる軽量化のため、PCMは無償で非装備とすることもできます。この場合、代わりにセンターコンソールに収納コンパートメントが備わります。
バーチャルサポートによるトレーニング:ポルシェ トラックプレシジョンアプリ
標準装備のポルシェ トラックプレシジョンアプリにより、スマートフォンでドライビングデータの詳細な記録、表示、分析を行うことができます。PCMを使ってスマートフォンで自動的に、またはオプションのクロノパッケージの操作レバーを使って手動で、ラップタイムをストップして比較することができます。ポルシェ テクイップメントにオプションで用意されているラップトリガーを使えば、さらに正確なラップタイムの計測ができます。
このアプリによって、サーキットではドライビングダイナミクスが直接スマートフォンに表示されます。セクタータイムとラップタイムに加え、設定された基準ラップとの差も表示されます。ドライビングデータのグラフによる分析や、ビデオ分析も、ドライビングパフォーマンスをたえず向上させるのに役立ちます。記録、ラッププロフィール、ドライバープロフィールは、スマートフォンで直接、管理・共有することができます。
オプション:パフォーマンスディスプレイ付クロノパッケージ
911 GT3 RSにもオプションでクロノパッケージが用意されています。このパッケージには、ダッシュボードのアナログおよびデジタルストップウォッチに加え、測定されたラップタイムの表示、保存、分析のための機能や、パフォーマンスディスプレイも含まれます。これにより、現在のラップの時間と距離、前回のラップタイム、これまでに達成されたタイムについての情報が得られます。ファステストラップや航続距離も表示されます。どのようなラップのルートも記録可能で、基準ラップも設定することができます。