ニューポルシェ911

第8世代へと進化したアイコン

強さ・速さの進化とデジタル化―ポルシェ911が第8世代へと進化しました。ポルシェデザインのDNAが鮮明に表現されており、明らかに筋肉質になった外観と、10.9インチのタッチスクリーンモニタが象徴する全く新しいインテリアは、新型911に時代を超越したモダンさを与えています。インテリジェントな操作要素とボディ、ならびに革新的なアシスタンスシステムは、伝統的なリアエンジンスポーツカーの妥協のない優れたダイナミクスと、デジタル環境への要件に対応する能力を見事に融合させています。

ポルシェAG取締役会会長のオリバー・ブルーメは次のように述べています。「包括的なデジタル機能を搭載した911の第8世代は、先代モデルよりもさらにパワフルでエモーショナルになった上、効率も向上しています。全体的に進化を遂げたにもかかわらず、911は今でもポルシェの躍動するハートを持つピュアなスポーツカーという当初の姿を保っています。まさに私たちの象徴的存在、アイコンなのです。」

さらに進化した新世代の水平対向6気筒ターボエンジンは、331 kW(450 PS)とSモデルにおけるこれまでの最高出力を誇ります。噴射プロセスが改善され、ターボチャージャーとインタークーリングの配置変更などの最適化措置が講じられたことでドライブトレインの効率が上昇し、エミッションが低下しています。駆動力は、新開発の8速デュアルクラッチトランスミッションを介して伝達されます。最高速度は308 km/h (カレラS)、全輪駆動のカレラ4Sでは306 km/hとなりました。0から100 km/hの加速タイムは4秒を下回り、後輪駆動のカレラSは3.7秒、全輪駆動の911カレラ4Sは3.6秒です。つまり両車両はそれぞれの先代モデルよりも0.4秒速くなっています。オプションのスポーツクロノパッケージを装備すれば、このタイムをさらに0.2秒縮めることができます。新型911は、世界で最も過酷なレースコースでも新しいベストラップを記録しています。911カレラSはニュルブルクリンクのノルトシュライフェで、先代モデルよりも5秒速い、7分25秒のラップタイムを記録しています。

その他のハイライトとしては、濡れた路面での走行安定性をさらに高めるポルシェウェットモード、赤外線カメラを用いたナイトビジョンアシスト、ビッグデータインテリジェンスを使用した包括的なコネクティビティなどが挙げられます。充実した機能と装備には、またとないドライブ体験を提供してくれる「Porsche Road Trip」アプリケーション、パーソナルアシスタントの「Porsche 360+」、ならびに個人のCO2排出量を中和させるウェブベースの排出量計算機能「Porsche Impact」という、3つの新しい特別なデジタルサービスがさらに加わります。これらは2018年11月27日にロサンゼルスで新型911と共にワールドプレミアを飾りました。

初期911の要素を取り入れたエクステリアデザイン

エクステリアデザインは、明らかに新しい要素を採り入れています。第8世代の911はさらにワイドになり、モダンで堂々とした姿となって登場します。フロントは20インチ、リアは21インチ径の大きなホイール上に、よりワイドになったフェンダーがアーチ状に設けられています。後輪駆動モデルは、全輪駆動モデルのこれまでのボディ幅を有することになります。それに伴って、リアアクスルの幅が44ミリメートル拡大しています。どちらのモデルでも幅が45 mm拡大したフロントセクションは初期の911に見られる伝統的なスタイルを採用しており、前方に向かって長く延びているボンネットには、ウインドシールド前に特徴的な傾斜が付けられています。その両者がフロントセクションをすらりと見せ、ダイナミズムを与えています。同時に、新開発のLEDヘッドライトは、911の技術的進歩を示しています。911に特徴的な丸型で直立したLEDヘッドライトは、ほぼシームレスにフェンダーに溶け込んでいます。電動で開くドアグリップがドアと同一面上に一体化されているため、テーパーがついて滑らかなサイドラインが強調されます。同様に新設計されたドアミラーは風切り音が最も低減されるように最適化されており、オプションで電動格納が可能です。

リアはよりワイドになり、フレキシブルに展開するスポイラーと、シームレスで繊細なライトストリップがインパクトのある印象を生み出しています。垂直方向に配置されたエアインテークのフィンは、リアガラスのラインにアクセントを与えています。中央に配置されたハイマウントストップランプもフィンの方向と一体化しています。これらはリアスポイラーが展開すると覆われるため、スポイラーには第2のブレーキライトが組み込まれています。違いを示す特徴として、後輪駆動モデルはブラックのフィンを有する一方、全輪駆動モデルはエンジンフードにクロムインサートを備えています。フロントおよびリアセクションを除いて、外板パネル全体がアルミ二ウム製です。

クリアなラインで新しくデザインされたインテリア

インテリアは、埋め込まれたメーターを備えたダッシュボードのクリアで直線的なラインが特徴的です。ここでも1970年代の911がモチーフになっています。ダッシュボードは初代911のように、2つの水平ブレード面の幅全体にわたって広がっています。中央のレブカウンターの横に位置する2つのフレームレスの薄型自由形状ディスプレイがドライバーに必要な情報を提供します。10.9インチのポルシェ コミュニケーション マネージメント(PCM)のセンタースクリーンは、脇見運転をせずに素早く操作することができます。その下では、5つのクラシックな形のトグルスイッチを有するコントロールパネルが、タッチパッド一体型センターコンソールに結合しています。シートも同様に根本的に改良されました。新設計により約3 kgの車両重量軽量化が実現しており、形状を変更したことで、ショルダーエリアでのサイドサポートが大幅に改善されています。シートがこれまでより5 mm深く配置され、シート面がわずかに薄くなったにもかかわらず、シートの快適性を全体的に改善することができました。

デジタル化において、911は持続的なコネクティビティおよび新しい機能とサービスにより未来への次のステップに進みます。標準装備のPCMには、大量のデータに基づくオンラインナビゲーションとポルシェ コネクトプラスが含まれます。

豊富なアシスタンスシステムにより安全性と快適性が向上

ポルシェが世界初の新機能として開発したウェットモードが標準装備されます。この機能は路面上の水を認識し、それに応じて制御システムを予め状況に合わせて調整し、ドライバーに警告します。ドライバーは車両を押しボタンまたはステアリングホイールのモードスイッチ(スポーツクロノパッケージ)により、特に安全を重視して調整することができます。同様に標準装備されるウォーニングおよびブレーキアシストシステムは、動く物体との衝突の危険を検知し、必要に応じてエマージェンシーブレーキを作動します。熱探知カメラを備えたナイトビジョンアシストが、911に初めてオプションで用意されます。オプションのアダプティブクルーズコントロールは、オートマチックディスタンスコントロール、スタート/ストップ機能、リバーシブルオキュパントプロテクション、および革新的な自動エマージェンシーアシスト機能を含みます。

次世代の水平対向6気筒エンジン

新型911では水平対向6気筒ボクサーエンジンも新世代に突入します。エンジンの開発はガソリン微粒子フィルターを採用して最新の排気ガス規制を満たすことに加えて、特にパフォーマンスをさらに向上させることに重点を置いて進められました。電子制御のバイパスバルブを持つシンメトリック構造の大型ターボチャージャー、完全に新設計のインタークーリング、および今回初採用されたピエゾインジェクションバルブによりエンジンのレスポンス、パフォーマンス、トルク特性、安定性および回転特性がさらに改善されました。911カレラSのエンジンでは、6,500/rpmでの出力が22 kW(30 PS)向上して331 kW(450 PS)になったことに加え、2,300/rpm~5,000/rpmでのトルクも30 Nm増加して530 Nmとなっています。

付加価値税と国別仕様の装備を含めて、911カレラSの価格は120,125ユーロ、911カレラ4Sは127,979ユーロです。

腕に光るポルシェ911の神話

ポルシェデザインは、911新世代の発表に伴い、限定版腕時計スペシャルエディション「911クロノグラフ タイムレスマシン限定版」を911個お届けします。ピュアなデザインの時計は、そのチタンケースの形状とともに、自動車の象徴的存在であるこのモデルを再現したオリジナルデザインとなっています。大きめのサイズのブラックダイヤルは、この理想的なモデルから受け継がれました。白い針とインデックスが使用されているため、コックピットでも腕に着けていても常にはっきりと読み取ることができます。6時の位置にあるトータライザーは、3/6/9そして11のマークとともに、このスポーツカーアイコンをもとにデザインされています。また、911フライラインのダイアルと、オリジナルのポルシェインテリアレザーを用いたベルトのシルエットにも同様のことが言えます。このスペシャルエディションは、2019年4月より特製の限定バッジ付きの限定版ボックスとともに発売されます。

ツッフェンハウゼン生まれの傑作 - カルトスポーツカーの7世代

1963年9月12日、フランクフルトモーターショー(IAA)でレジェンド誕生の瞬間が訪れました。この日、ポルシェは大きな期待を寄せられていた356の後継車を発表します。これより15年前のオーストリアのグミュントで356とともにポルシェブランドの歴史が開幕したのです。最初は901と名付けられたこの初代911は、生産終了までに111,995台が製造されました。

10年後の1973年、大きな変化とともに911のGシリーズがスタートします。重要な輸出マーケットである米国の厳格な安全基準に基づき、多くの変更が必要となりました。ポルシェはトップモデルに高出力のターボエンジンを搭載し、ボディには原則的に亜鉛メッキを施した上、タルガに加えて911のカブリオレモデルとスピードスターも市場に投入しました。ポルシェ911Gシリーズは1989年までに198,496台が生産されました。

早くも1988年に、ポルシェ社内ではタイプ964と呼ばれていた後継車が販売されます。964世代の最初のモデルバリエーションは、新型911がいかに進歩的であったかを示しています。カレラ4の登場に伴い、初めて全輪駆動モデルがシリーズに導入されました。この全輪駆動は、もともとポルシェがハイパフォーマンススポーツカー、959向けに設計したものでした。続いて1989年には、後輪駆動の911カレラ2が登場します。時を同じくして、クーペと並んでカブリオレおよびタルガモデルもデビューを飾りました。また、タイプ964では、一体化されたバンパーを含むボディ以外の85パーセントのパーツが新たに設計されていました。ポルシェ911の第3世代となった964は6年間で63,762台の生産数を達成したあと、1993年10月にその後継車が続きます。

911の第4世代であるタイプ993は、この傑作車の歴史において、最も人気のあるモデルの一つとなっています。ポルシェは当初、このモデルをクーペまたはカブリオレのみで提供していました。その後1995年になってから、取り外し可能なルーフパーツの代わりに、電動でリアガラスシートの下に格納される大面積ガラスルーフという新たなコンセプトと共にタルガが登場します。68,881台が生産されたあと、1998年に空冷エンジンの時代が終幕を迎えます。

ポルシェは1997年以降、911の第5世代の導入に伴って空冷エンジンからの別れを決断します。タイプ996は、傑作車の系譜における大きな分岐点となります。ポルシェは経済的な転換期にありました。996世代を開発するに当たり、同社は伝説的なモデルの34年間続いたコンセプトを大幅に転換することにしました。そこでの焦点は、先代モデルで始まった生産コストの削減に当てられ、新型ボクスターなどの他のシリーズとの共通部品数を可能な限り高める努力などが行われました。また、最新の安全基準および排ガス規制への適合も重要な課題となりました。生産は2005年まで続きました。生産台数175,262台を誇るタイプ996は、911の40年を超える歴史において長年過小評価されてきたサクセスモデルです。

2004年よりポルシェ911はタイプ997として、これまでにない多彩な姿で提供されました。タイプ997はクーペ、タルガ、カブリオレおよびスピードスターとして登場し、後輪駆動と全輪駆動、ナローとワイドなボディ、水冷式の自然吸気エンジンとターボエンジンが用意され、GTS、GT2、GT2 RS、GT3および2つのGT3 RSモデルも展開されました。特別仕様車を含めるとモデル数は24に達し、数多くのカスタマイズオプションも用意されました。第6世代の911は213,004台が生産され、生産台数記録を再び更新しました。

2011年には、当時ポルシェ911史上最高の完成度を誇ったタイプ991が登場しました。タイプ991は、最適な効率性の追求というポルシェの中心思想を特別な形で反映しています。それは、進化を遂げて先鋭化されたデザインを始めとして、あらゆる観点で表れています。コンパクトなシルエット、きりりとしたサーフェス、正確に設計されたディテールを特徴とする991は、トレッドが拡大されてホイールベースが10センチメートル延長されたことも手伝って、モデル史上最高の力強さを醸し出しています。ポルシェ911の市販スポーツカーとして初めて採用されたアダブティブエアロダイナミクスは、ハイブリッドスポーツカー918スパイダーから引き継いだものです。991世代の911は、同モデルの歴史における絶対的なベストセラーと言えます。2018年10月31日時点で217,930台が生産されています。ポルシェは1963年のデビュー以来、これまで総計1,049,330台の911シリーズを生産しています。

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