電気モーターとV8ツインターボエンジンの技術的詳細

駆動システム

電気モーターは発進時から400N・mのトルクを発生

新しいポルシェは、パナメーラ ターボのV8ガソリンエンジンと組み合わされる電気モーターから動力を供給されます。電気モーターは、100kW(136PS)を2,800rpmで発生し、400N・mの最大トルクを2,300rpm以下の回転域でもたらします。電気モーターは、最高回転数に極めて素早く到達するので、ドライバーがアクセルペダル(すなわち電力ペダル)を踏むのとほぼ同時にこのような高水準のパワーと最大トルクを利用することができます。

排気量4.0リッター、最大トルク770NmV8ツインターボエンジン

パナメーラ ターボS E-ハイブリッドに搭載される8気筒ツインターボエンジンは、新たに設計されたエンジンです。コンパクトで比較的軽量なデザインであり、404kW(550PS)の最高出力を5,750~6,000pmで発生し、770N・mの最大トルクを1,960~4,500rpmで生み出します。構造的に言うと、この8気筒ツインターボは、90度のバンク角を持つ縦置きV型エンジンです。カムシャフトのタイミングを50度まで調整可能な4本の可変吸排気カムシャフトコントロールは、チェーンによって駆動されます。4バルブエンジンの総排気量は3,996ccで、137.5PS/リッターという傑出したリッターあたり出力を生み出します。V8直噴エンジンの最大の技術的特徴は、2基のターボチャージャーをVバンクの内側に収めたセンターターボレイアウトと、燃焼室中央に配置されたインジェクターです。その他の特徴としては、サーキット走行に対応した潤滑システム(極限の前後Gと横Gを補正するようにレイアウトを設計)と、摩耗をほぼゼロに抑えたシリンダーライニングのコーティングなどがあります。

最大過給圧2.0bar2基のツインスクロールターボチャージャー

V8ガソリンエンジンは、あらゆる回転域と出力域で極めて素早く吹け上がります。低回転域であっても、この8気筒マシンはトルクを生み出します。こうした運転特性を実現している要因のひとつが、センターターボレイアウトの2基のターボチャージャーです。2基のツインスクロールターボチャージャーは、圧縮された空気をV8の燃焼室に供給します。反対方向に回る2基のタービンは、低回転域であっても高トルクをもたらします。ターボチャージャーの最大過給圧は2.0barです。排出ガスによって駆動されるコンプレッサーは、各ターボチャージャーで吸気を圧縮します。この処理空気は、エンジンレスポンスを最適化するためにデュアルブランチシステムを通って導かれます。エンジンの外側へ送られた空気は、V8の前方に設けられた左右のインタークーラーを通過した後、スロットルバルブを経由して左右のシリンダーバンクに導かれます。インタークーラーは、圧縮中に上昇した処理空気の温度を大幅に下げます。これによって空気の密度が高まることで、気筒内の酸素量が増加し、エンジンの総合的な効率が向上します。燃料は、燃焼室の中央に配置された高圧インジェクションバルブを備えるインジェクターによって噴射されます。触媒コンバーターを素早く加熱し、暖機時間を短縮し、エンジンが作動温度で運転中の噴射プロセスを最適化するために、ポルシェはエンジン始動時に実行される専用の噴射プログラムを作成しました。各シリンダーバンクには、最大噴射圧250barの高圧ポンプが備わります。

Vバンク内に配置された触媒コンバーターによる排出ガス後処理

V8エンジンには、プライマリー触媒コンバーターとメイン触媒コンバーター、ならびにフロントサイレンサーとリアサイレンサーを備えるデュアルブランチエグゾーストシステムが装備されています。8気筒エンジンは、センターターボレイアウトと同様に、触媒コンバーターをVバンクの内側に配置するように設計されています。触媒コンバーターとエンジンが接近したこの構成によって、エミッションコントロールシステムは最適な作動温度に素早く達することができます。さらに、エンジン始動時にターボチャージャーのウエストゲートバルブが開くことで触媒コンバーターの加熱が促進されます。

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