快適性からスポーツ性まで幅広いドライブレンジ

シャシーとブレーキ

新型911のシャシーにより、ポルシェは利用可能なドライビングダイナミクスのポテンシャルをさらに活用すると同時に、乗員はタイヤの快適性の向上による恩恵を受けます。これは、フロントに20インチホイール、リアに21インチ ホイールを装着した新しいミックスタイヤの構成をベースにしています。同時に、リアタイヤはフロントタイヤよりも大幅にワイドになっています。これにより、両モデルでフロントのトレッドが46mm広くなり、911カレラSではリアのトレッドが39mm広くなっています。この組み合わせにより、リアアクスルの横方向の安定性が高まり、後輪駆動の911のトラクションを向上させます。また、ミックスタイヤは車両のバランスに大きく影響します。ハンドリングはよりニュートラルでコントロールがしやすくなります。洗練されたシャシーデザインは、次世代のポルシェ アクティブサスペンション マネージメントシステム(PASM)によって補完され、スポーティさから快適さまで、大幅に強化されたドライブレンジを提供しています。911カブリオレでは、制御式ショックアブソーバーを装備した標準のPASMシャシーから、ボディを10 mm低めたオプション装備のPASMスポーツシャシーと交換することが初めてできるようになりました。

よりスポーティで快適:幅広い状況に対応する改良型PASM

ポルシェは新型911のためにPASMをさらに改良しました。この最新世代のダンパーはエンジニアリングの完全な見直しが行われました。リバウンドとコンプレッションのためのメインステージバルブとプレッシャーチャンバーは、磁力を使用して連続して調整可能な高精度のコントロールバルブによって数ミリ秒以内に制御されます。これにより、減衰力をいつでも精確に調整することができます。さらにポルシェのシャシースペシャリストは、新しいダンパーテクノロジーのための独立したソフトウェアコントロールシステムを開発しました。これはダンパー機能を新型911に完全にマッチさせています。

車高を10ミリ低めたPASMスポーツシャシーも装備可能です。セットアップ全体は、ドライビングダイナミクス強化のために設計されており、コーナリングでのより高い敏捷性と高速ストレートでのより高い安定性の双方を実現します。

ウェットモード:世界初のウェット検知システムを標準装備

新型911は、いつでもマニュアルで選択することができるウェットドライビングモードを含む、路面が大幅に濡れているかどうかを検出するための革新的なシステムを世界で初めて装備しました。これは特に路面が濡れた状況でドライバーを支援するために開発されました。このシステムは、フロントホイールハウジングにある音響センサーを使用して飛び散った水しぶきを認識し、路面が濡れているかどうかを検出できます。これは、路面の状況とは関係なくウィンドスクリーン上の水滴に対して光学的にのみ反応するウィンドスクリーンワイパーのレインセンサーとは根本的に異なります。路面が濡れていると認識された場合、PSMおよびPTMシステムのレスポンスの挙動は事前に調整されます。路面が非常に濡れた状態では、システムは2番目のステップとしてドライバーに通知し、マニュアルでウェットモードに切り替えることを促します。

対応する機能は、センターコンソールの上にある新しいボタンバーで作動するか、またはオプションのスポーツ クロノパッケージのモードスイッチに統合することもできます。ドライバーがウェットモードを起動すると、ポルシェ スタビリティ マネージメントシステム(PSM)、ポルシェ トラクション マネージメントシステム(PTM)、空力特性、オプションのポルシェ トルクベクタリング(PTV)プラス、そしてドライブのレスポンスが、最高の走行安定性を維持するためにそれぞれ調整されます。時速90kmからリアスポイラーが最大限のダウンフォースを発生するように調整され、冷却風のフラップが開き、アクセルペダルの特性はよりフラットになるとともにPSMがオフになるか、またはスポーツモードが作動を解除します。

最適化されたブレーキレスポンスを備えた新しいブレーキシステム

さらに改良されたタイヤの新たなホイールサイズは、まったく新しいシャシーのセットアップをもたらしました。これにより、濡れた路面でのグリップや乾燥した路面でのハンドリング、さらには転がり抵抗が改善されました。スプリングとアンチロールバーのレートはより高く、ブレーキシステムはより精確に作動します。新しいリアホイールはより高い制動力を伝達できるため、リアブレーキディスクの直径は330ミリメートルから350ミリメートルに増加しました。ブレーキレスポンスの即時性が高まり、ドライバーは確実な路面とのコネクションのために正確なプレッシャーポイントを感じ取ることができます。

サーキットで実績のあるポルシェ セラミック コンポジット ブレーキ(PCCB)は、911すべてのモデルでオプション装備が可能です。セラミックブレーキは軽量化に貢献し、フェーディングがほとんど起こりません。

俊敏性を高めるためのよりダイレクトなステアリングレシオ

新型911の敏捷性とダイナミックなターンイン挙動をさらに向上させるために、ステアリングレシオは標準装備のモデルで約11%よりダイレクトになり、オプションのリアアクスルステアリング装備車両では約6%ダイレクトになりました。その結果、911はさらに敏捷性が増し、ワインディングロードでさらに大きなドライビングプレジャーを提供します。

また、快適性を重視したパワーステアリングプラスをオプションで装備することができます。低速走行時には、このステアリングは適応されたステアリングアシストが作動し、特に操縦や駐車を楽にします。

リアアクスルステアリングと軽量バッテリー

リアアクスルステアリングは新型911用にさらに調整されました。走行速度に応じて、リアホイールをフロントアクスルのステアリング角と同じ方向または反対方向のどちらかに2度まで動かします。これは911をコーナリング時にさらに機敏にし、回転半径が小さくなることで都市でのドライブをより容易にします。例えば車線変更時には、速度が速いほど走行安定性が向上します。リアアクスルステアリングは、新しいリン酸鉄リチウムバッテリーの使用にも関連しています。

リン酸鉄リチウム電池の寿命は従来の鉛蓄電池の2.5倍ですが、重量は12.7キログラムで重さが半分以下です。オプションのポルシェ ダイナミック シャシー コントロールシステム(PDCC)もリアアクスルステアリングとともに利用することができます。このシステムはアクティブアンチロールバーを備え、コーナリング時のボディのロールを低減します。

フロントアクスル用リフトシステム

オプションの電子油圧式リフトシステムにより、フロントアクスルを約40mm上げることができます。フロントアクスルでのアプローチ角とグラウンドクリアランスにより、このシステムは、例えばガレージや立体駐車場への乗り入れを容易にします。

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